「これで私のサッカー人生は終わりか。」 13歳の頃の大滝麻未さんはこう思いました。 地元で女子サッカークラブを見つけることができなかったからです。
結果的に、彼女の両親が毎週末2時間ほど運転し、彼女を練習に送ったことでこの困難は何とか乗り切ることができました。
長距離に渡るこの車移動の日々はそれなりの意味がありました。
東京から南へ1時間ほどに位置する平塚市に生まれた大滝さんは、2012年に女子の日本代表に選出されました。現在、彼女はジェフユナイテッド市原・千葉で活躍しています。
しかし、彼女が幼少期抱えていた「女の子にとっての地元サッカークラブ不足」という課題は、今日の日本でも難題として存在していることを彼女は認識しています。 彼女のチームメイトの多くが同じような経験をしたことがあるからです。 このような女の子がサッカーをするのを妨げる障壁に対する取り組みとして、彼女はなでしこケアという団体を設立し、プレー・アカデミー with 大坂なおみの支援を受けながら2021年の一年間プログラムを運営しました。
「両親はサッカーに対し、多額の投資をしなければなりませんでした。」 兄の影響を受けサッカーを始めた大滝さんは話を続けます。 「毎週末、13歳の女の子を1時間半から2時間をかけて練習に送るのは大変なことです。 「毎週末、13歳の女の子を1時間半から2時間をかけて練習に送るのは大変なことです。
「13歳から15歳頃の女の子がサッカーを続ける機会はあまり多くありません。 高校生以上の女の子が参加できるチームが増えましたが、多くの女の子はすでに13歳から15歳の間にサッカーをやめてしまいます。これは私たちなでしこケアが解決したい課題の1つです。」
この課題は、女子サッカーだけでなく、日本のスポーツ全般にみられます。 6歳から17 歳の女の子は、男の子よりもスポーツの参加率が20%低く、場所や機会が限られているなどの課題により、10歳という早い年齢からスポーツをやめてしまう割合が高くなっています。
大滝さんの視点から見ると、女子サッカーチームが不足していることは明らかでした。彼女は18歳になるまで混合チームに所属していました。
「通常、学校は女の子のためのスポーツチームを部活動として持っており、すべての学校にはバスケットボール、野球、他に多くのスポーツチームがあります。 一方、ほとんどの中学校には女子サッカーのチームがありません。そのため、地元の学校に進学する場合は、その学校にあるチームから選択しなければなりません。それでもサッカーをしたい場合は、私のように外部へ通うことが必要になります。運が良ければ、近くにいくつかのチームがあるかもしれません。」
もう1つの取り組んでいる障壁は、サッカーの価値、つまりサッカーが女の子の生活に与える好影響を保護者に理解してもらうことです。 大坂なおみ選手、 ローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団、ナイキがパートナーシップを組んで立ち上げたプレー・アカデミーの、遊び とスポーツを通じて女の子の人生に変革をもたらすことを目的とする助成金を運用し、なでしこケアはサッカーを愛する女の子とその保護者を対象にワークショップを実施し、娘たちがサッカーをやるのにどんなメリットがあるのか、サッカーから学んだスキルをどのように人生で活用できるかについての理解促進に取り組んでいます。 2019年に設立されたばかりのなでしこケアは、サッカーを通じて女の子の人生に変革をもたらすという願いを実現するために、プレー・アカデミーとの連携の間、プログラム運営と合わせて組織力強化にも取り組みました。
日本NPOセンターが実施した調査分析によると、幼少期から10代までの女の子の自信と自尊心について、 「自分が好きだ」と思う10歳までの子どもの男女別割合は、女の子が59%に対し、男の子が88%で自己肯定感が高いことがわかりました。 14歳の場合、73%の男の子が高い自己肯定感を持っているのに対し、女の子は46%にとどまりました。
大滝さんは、ピッチ外でも応用可能なスキルを、サッカーを通じて獲得することができ、特にチームプレーについては多く学ぶことができたと実感しています。 彼女は、女の子がプロに目指して行くか、趣味として遊び程度で行うかにかかわらず、それらのスキルが育つことを望んでいます。
「サッカーは個人スポーツではないため、常に周りの人のことを考えなければなりません。 他のプレーヤーの話に耳を傾けながら、自分の言いたいことを声に出していくことも必要です。それでチームの作り方やチームメイトとの付き合い方が自然に身に付きます。これは大事なことの一つで、一般社会や職場で活用できるスキルです。」