「女の子のスポーツ参加を促す指導者ガイド」を発表しました!

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「プレー・アカデミー with 大坂なおみ」が日本国内の指導者向けに実施する「スポーツ現場におけるジェンダー平等を目指す指導者のためのネットワーキングプログラム(通称:ジェンダー&スポーツコーチングプログラム)」の活動の一環として、ローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団(以下、ローレウス)は、「女の子のスポーツ参加を促す指導者ガイド」を、「女の子のためにスポーツを変えるウィーク -COACH THE DREAM-」の10月18日開催東京サミットで発表しました。

「女の子のスポーツ参加を促す指導者ガイド」PDF版はこちらからダウンロードできます。

「プレー・アカデミーが日本で活動してきたこの4年間、『スポーツ現場でのジェンダー平等具体的な取り入れ方がわからない』という声を指導者やコーチから聞いてきました。その声に応答するために、現場で使いやすいコーチング教材を開発し、彼ら・彼女らに届けたいと思いました。」と、ローレウスのシニア・プログラム・アンド・グランツ・マネージャーの篠原果歩。

このガイドは、Center for Healing and Justice through Sport (CHJS)が開発した「女の子のコーチングガイド」を参考にしながら、日本の文化や風土を考慮した上で、実際のスポーツ現場でも使いやすいように、日本の専門家や「ジェンダー&スポーツコーチングプログラム」に参加する指導者の方々からのアドバイスを反映しながら制作しました。

監修を務めた順天堂大学女性スポーツ研究センターの小笠原悦子センター長は、日本の女の子がスポーツに参加する際に、コーチが直面する課題として以下の3つを挙げました。

「1)身体・生理的な代表的な課題としては、女子の月経に伴う様々な課題です。また、2)心理・社会的な課題としては、女の子に対するハラスメント、そして、最後に3)組織・環境的な課題としては、女の子にとって快適なスポーツ環境の整備の必要性という認識の不足です。」

女の子が安心して安全にスポーツに参加でき、スポーツからあらゆるものを得られるように、指導者が知っておくべき「知識」と、その知識をベースにどのような「意識」で指導にあたることが重要なのかを7つのアプローチにまとめました。加えて、「知識」や「意識」を行動に移すためのチェックリストとすぐに使える運動セッションのアイデアなども紹介しています。

CHJSの創設者であるメーガン・バートレット氏は、「コーチとは、若者のスポーツ体験を創造する人です。 良いコーチとは、すべてのスポーツ体験がポジティブな人間関係で満たされ、若者の身体活動を促し、アスリートが自分自身の成長を実感できるような仕掛けを作り出す人です」という。

「7つのアプローチ」とは

①女の子のための活動をはじめるときの前提
「女の子らしさ」って誰が決めたの?ジェンダーやジェンダー課題とは何かを学び、なぜスポーツ現場でジェンダー課題が問題となるのかを理解します。

②セーフガーディングについて
女の子にとっての最善を。スポーツ現場における、子どもの安心・安全を保障し、子どもの権利を守るための組織の取り組み「セーフガーディング」とは何かを知り、特に弱い立場に置かれることの多い女の子を守るために注意すべきことを考えます。

③女の子のための環境を整える
多様なニーズに合わせて。女の子が「自分の居場所だ」と思えるスポーツ環境を整える方法や、施設(更衣室・トイレなど)に関して考慮すべきことを考えます。

④女の子のための組織文化をつくる
女の子のための対話を。女の子のための活動をはじめる際の組織全体における新たな理解の醸成や、ジェンダー平等を推進する組織体制の構築について考えます。

⑤女の子と話すとき
より良いコミュニケーションを。女の子への言葉かけ、コミュニケーションについて理解し、女の子が自信をもってチャレンジできる環境づくりの方法を考えます。

⑥保護者と話すとき
保護者もチームの一員。女の子がスポーツに積極的に参加できる環境づくりのためには、保護者の理解と協力が不可欠です。女の子の成長に大きく影響する保護者と一緒に取り組むことや、保護者へのアプローチ方法について考えます。

⑦運動セッションを考えるとき
女の子を変えるのではなく、遊びを変える。女の子が安心・安全な環境でスポーツや運動を楽しめ、自己効力感や自信が持てるセッションのつくり方を考えます。

また、この「女の子のスポーツ参加を促す指導者ガイド」には、下記17団体様からもご賛同いただいております。

  • 一般社団法人 S.C.P. Japan
  • 一般社団法人ジャンク野球団
  • 一般社団法人東京スポーツクロスラボ
  • Woman Athletes Project(WAP) by 日本トップリーグ連携機構
  • NPO法人 Jキャンプ
  • 学校法人日通学園 流通経済大学
  • 株式会社スポコン
  • 株式会社読売巨人軍
  • 公益財団法人日本バスケットボール協会
  • (公財)日本ラグビーフットボール協会
  • 公益社団法人日本ダンススポーツ連盟
  • 特定非営利活動法人モンキーマジック
  • 独立行政法人国立女性教育会館
  • 順天堂大学女性スポーツ研究センター
  • 筑波大学・鹿屋体育大学スポーツ国際開発学共同専攻
  • 桃山学院教育大学
  • 大和シルフィード

(五十音順)

プレー・アカデミーでは、来年度以降、本指導者ガイドの国内推進のための講師の育成や派遣、オンラインセミナーを開催し、女の子のための指導者やスポーツリーダー支援を続けていきます。

「意図的に女の子のニーズを満たすように構成されたスポーツ体験は、女の子の社会的、感情的、身体的発達に圧倒的にプラスの効果をもたらします。スポーツチームにおいて、女の子が自分らしさを発揮できるようにしたいと考えている人は、このガイドが役に立つと思います。」とバートレット氏はいう。

文: Play Academy