テニスの練習を組むことになった時、ニキータはペアが見つけられず独りぼっちに。
その時大坂なおみ選手がとっさに加わり、ロサンゼルスにあるKids Enjoy Exercise Now (KEEN)のボランティアコーチと一緒に練習に加わる事が出来た。
運動機能に影響が現れる、脳性麻痺を患った子どもを二人持つニキータのお母さんキャセイはこの光景に感動。
「学校では、活動やプロジェクトがあると、いつも彼女は個別のプロジェクトをやらされる」とキャシーは言い、「みんな私たちのパートナーになりたがらないんです」と続けた。
「でも、大坂なおみ選手は、多様性を受け入れるとはこういうものだというお手本を示したのです。だからとてもパワフルだった。」
この春、グランドスラム・チャンピオンの大坂なおみ選手は、より多くの女の子に体を動かしてもらうことを目的とした自身の活動「Play Academy with Naomi Osaka」が資金提供をしているロサンゼルスの4つのスポーツプログラムを訪問し、充実した一夜となった。その中の一つであるKEEN LAは、5万ドル(約700万円)の助成金を受けており、無料で非競技スポーツプログラムを提供し、障がいを持つ若者をエンパワーしている。
幼い頃に台湾からロサンゼルスに移住したシングルマザーのキャセイ・ワンは、自分の家族を守るためにアクティビティやコミュニティサポート、娯楽や知り合いを探さなければならないことを早くに学んだ。彼女は友人の紹介でKEENと出会い、彼女の子どもたちは10年以上この団体のプログラムに参加している。
「KEENは、コーチがケアをしてくれたり、ディレクターが他の地域活動もチェックしてくれるので、すごく助けられてます」と2児の母。「KEENは私たちが参加する事を後押ししてくれるので私たちにととっては生きていく上で栄養やインスピレーションをもらう場であり。そしてそれを私たちは他の場所にも持っていくようにしてます。」
KEEN LAは、ボランティアと参加者の比率を1:1にすることに重点を置き、それが若者達に良い影響を与える鍵だと、事務局長のスザンヌ・フィリップス氏は言う。しかし、フィリップス氏は、どうすればこのレベルに戻れるのか、あるいは戻れるかどうかさえもわからなかったと言う。
「コロナ禍でアスリートたちはあまり参加できませんでした。「オンラインアクティビティを実施しましたが、参加のレベルは、対面プログラムを実施したときとは比べものにならないほどでした。そこでプレー・アカデミーが、私たちのプログラムを完全に再活性化するために必要な後押しを与えてくれました。それはアスリートだけでなく、ボランティアに対しても同様でした。」
プレー・アカデミーの資金援助により、KEEN LAは2年ぶりに対面式でサマープログラムを開始するためのボランティアを迎え入れることが出来た。このボランティアは若者にとっては、とても大きな役割を果たしている。
「1対1のサポートは、一人ひとりに気を配ってくれるので本当にありがたいです」とニキータ・ワンは言う。「コーチ達は私を励ます方法を知っているので、参加したい、また戻ってきたい、と思わせてくれるのです。」
だからこそ、あの時の大坂なおみ選手との交流はとても印象的で、特に同じアジア太平洋諸島の血を引く彼女にとっては計り知れないものだった。
「あの日私は自分のカウンセラーが新しい仕事に就いたと知った日で、すごくつらい日だった」とニキータは話す。「悲しみに包まれていた矢先、なおみ選手が私のパートナーになってくれると言ってくれ、悲しみが吹っ飛びました。」
ニキータの母は、「ニュースやインターネットでニキータのロールモデルになるような人を見かけると、彼女に紹介するよう心がけていました。だからニキータは、なおみ選手の活躍やメンタルヘルスの啓蒙活動やアジア太平洋諸島人として表に立っている事を知っていました。メンタルヘルスを含め、自分自身を受け入れるー自分のバックグラウンドを大切にし誇りをもっているロールモデルを見つけることはとても大事です。」
プレー・アカデミーは、大坂なおみ選手、ナイキ、ローレウス・スポーツ・フォー・グッドのパートナーシップにより、大坂なおみ選手と縁の深いハイチ、日本、ロサンゼルスで、遊びやスポーツを通じて少女たちの生活を変えることを目的としています。このプログラムでは、地域に根ざしたスポーツを活用する団体へ助成金やキャパシティ・ビルディング研修を提供し、ジェンダーインクルーシブな研修を受けたコーチによる指導や楽しくポジティブな遊びの体験を届けています。