プレー・アカデミーの助成金で、サッカーを通じた女の子のエンパワーメントに取り組む大和シルフィード

日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)に所属するサッカークラブの大和シルフィードがプレー・アカデミーの3団体と大坂なおみ選手を迎え、スポーツとアクティビティを東京で開催
日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)に所属するサッカークラブの大和シルフィードがプレー・アカデミーの3団体と大坂なおみ選手を迎え、スポーツとアクティビティを東京で開催

今までサッカーのピッチ以外では全く自信がなく、サッカー関連のプログラムでさえ企画運営なんて出来なかった自分。ところがローレウスの研修やこのプログラムがきっかけで自らプロジェクトを企画し、運営までしっかり出来るようになった。また、これがきっかけで色々なトレーニングにも積極的に参加するようになり、自分が女性のリーダーとしての自覚も芽生えた」と、力強く語る橋本紀代子氏。プレー・アカデミーを通した様々な経験で自分の成長について話してくれた彼女は、大和シルフィードのU15とU18のチームを経てイタリアで活躍した元サッカー選手。そして現在は、大和シルフィードのバックオフィスで「Girls Empowerment Project」の企画運営に積極的に関わっている。

橋本紀代子氏、大和シルフィードのスタッフとしてGirls Empowerment Projectをサポート
 © Play Academy with Naomi Osaka / Nike,Inc.

2022年1月より「プレー・アカデミー with 大坂なおみ」の提携コミュニティ団体となったNPO大和シルフィード・スポーツクラブ。神奈川県大和市をホームとし、日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)に所属するサッカークラブの大和シルフィードが助成金を通して「Girls Empowerment Project」を企画運営している。

スポーツによって、未来への希望を見つけることができる女の子が増える

事を目指し、二つの柱を用いて取り組んでいる。一つの柱が、橋本氏の成長の大きなきっかけの一部ともなった選手やスタッフに対してのファシリテーション研修。二つ目の柱が「Girls Empowerment Project」であり、選手やスタッフが受けた研修内容を活かしながら実際企画と運営をするという構図。本プロジェクトの参加者は7歳から14歳を対象とし、サッカーや対話を通して彼女らをエンパワーする事を目指す。

一つ目の柱であり、「土台作り」でもある選手とスタッフ対象のファシリテーション研修。年明けの助成開始時から外部スペシャリストのサポートも得ながらコロナなどの壁を乗り越え、なんとかオンライン・オフラインを上手く使い分けて4回実施。研修内容は主にGirls Empowerment Projectを運営するにあたり必要なファイシリテーションスキルや、近年スポーツにおいても非常に注目されているセーフガーディングへの理解、スポーツを通じて自己効力感を高める事を強調した研修。

本研修はもちろんGirls Empowerment Projectを成功させ、参加者が安心して安全にスポーツを実施し、自信を持って発言、発案するためのサポートをする事が大前提。だが、実際にはこれに加え、選手やスタッフがこの研修を通してコミュニケーション能力も高めたり、地域での活動を通して認知度を高め固有のファンが増えるというセカンドインパクトへの期待も込められている。そして最終的に、アスリートとしての社会的影響力が高まり、プレー・アカデミーやローレウスが掲げる「開発のためのスポーツ」にも繋がっていく。

一方「Girls Empowerment Project」は、メインの柱である支援プロジェクト。これまでスポーツに親しむ機会の少なかった、またはスポーツから離れてしまった7歳から14歳の女の子たちが主な対象者。サッカーを通じて身体を動かす楽しさに加え、女性のリーダーシップやキャリア、ヘルスケアなどについて話す機会も設け、彼女たちの将来的なアクションをエンパワーしていくというもの。一つ目の柱で研修を受けた選手やスタッフが主体となり、サッカーや対話を上手く使い、様々なスキルやメッセージを伝授する。

実践のサッカーの部分では、それぞれ年齢層に合わせてメニューを調整。小学校低学年は個人でのボール遊び、高学年は集団でのボール遊び、そして中学生は基本技術を選手たちから学ぶ。対話のセッション内容も女の子とスポーツから人生・キャリア、そして女の子の可能性・リーダーシップについて話す。それぞれ参加者のライフステージに合わせた内容でディスカッションが繰り広げられる。 日ごろから習慣性のないスポーツとのふれあう時間、そして初めて女性アスリートとサッカーや対話を通して交流するという刺激続きの3日間であり、彼女たちにとっては正に夢のような時間。

Girls playing soccer
Girls Empowerment Projectのサッカープログラムでのアイスブレイク © Play Academy with Naomi Osaka / Nike,Inc.

本来は大和シルフィードの選手やスタッフがこのプロジェクトを慣れ親しんだ環境で行う中、2022年9月26日に東京で開催された「ガールズ・スポーツ・フェスティバル2022東京 powered by プレー・アカデミー with 大坂なおみ」では、大和シリフィード以外の他3つの助成団体を招き、4団体合同で大坂なおみ選手を迎え1日限りのプログラム運営をするという大役を勤め上げた。

サッカーに親しみがなければラクロス、ラグビーやクライミングといった別世界のバックグラウンドを持つ参加者も居れば、視覚障がいを持つ子も参加し、年齢層もバラバラ。初めてだらけの環境でどのように今までの研修と経験を活かし、何を得たのだろうか。

「選手たちがファシリテーターとなって、子どもたちから夢を引き出す、それにすごく私は見て感動した。その成長に感動したので、今関わってくれた次の世代の子供たちもそういった役割にそのうち成長していく、っていうところを見れたら」と今後継続への強い決意とやり遂げた気持ちを同時に語る橋本氏。

とにかくみんなが安心安全に、楽しめる空間作りを意識してやり遂げた選手やスタッフはシーズンを締めくくる目前に、きっと大きな希望と自信に繋がったに違いない。そして見事なでしこ1部リーグに昇格した来シーズンは、ピッチ上やオフィスでも本プログラムの成果を発揮し続け、選手・チームにとってのレベルアップに繋がることも大いに期待できそう。

プレー・アカデミー は、2020年に大坂なおみとナイキがローレウス・スポーツ・フォーグッド財団(以下、ローレウス財団)と提携し、遊びやスポーツを通じて女の子の人生を変える目的として設立。大和シルフィードのような地域に根ざしたスポーツを活用する団体へ助成金やキャパシティ・ビルディング研修を提供し、ジェンダーインクルーシブな研修を受けたコーチによる指導や楽しくポジティブな遊びの体験を届けている。現在は大坂選手にゆかりの深いロサンゼルス、ハイチと日本の間で9つの団体を支援しています。詳しくは playacademynaomi.com/jaをご覧ください。